カテゴリー「書籍・雑誌」の記事

最近買った本、読んだ本17冊 ~08年6月

最近買った本、読んだ本を、時系列的に遡ってみます。

『さまよう刃』東野圭吾著(角川文庫)

・あまりに酷い事件から始まるが、展開自体は比較的シンプル。少年犯罪者が幾重に守られるいっぽう、被害者家族が蔑ろにされる現実を凄まじく世に問うのが印象的。

Photo『黒笑小説』東野圭吾著(角川文庫)

・東野圭吾の長編はかなり読んでいるが、この手の「ガス抜き」的短編は、初めて読む。冒頭四篇は、文筆業の厳しい現実が自虐的だが非常に嗤える^^;

『毒笑小説』『怪笑小説』東野圭吾著(角川文庫)

・上記の後この2冊も買って、今は『毒笑』の途中まで読んだ。この雰囲気、誰かの作品を彷彿させると思っていたが、それは筒井康隆の70年代の作品かも。

『シェーの時代~「おそ松くん」と昭和こども社会』泉麻人著(文春新書)

・「おそ松くん」は曙出版版の初版全24巻(各巻色違い版)のほとんどを持っていたが、現在手元にあるのは、5、14、18、19、21巻の5冊のみ。ヤフオクで揃え直したいと思いつつ、なかなか動けず。。本書は、一昨日の昼に神保町で買って、喫茶店で引用のマンガのカットだけざっと見たものの、本文はなかなか進まず。。

『失格社員』江上剛著(新潮文庫)

・現実はもう少し先を行って混沌としている企業社会。その一歩手前の普遍的なテーマをよく描いているのかなと。

Photo_2『母が重くてたまらない~墓守娘の嘆き』信田さよ子著(春秋社)

・やや学者系の書き口なのだが、タイトル、装丁などは一般書ふうの仕上げ。作戦勝ちの一冊。

『B型男と幸せになる方法』田中ひろみ著(東洋経済新報社)

・年初に、書籍のカバーイラストをご依頼した田中さん。最近また血液型本がブームだが、本書は田中さんの4コマ、3コママンガが楽しい。

『プロレス「暗黒」の10年』井上譲二著(宝島社)

・60年代から90年頃までずっと見続けていたプロレスの、その後の展開を知る意味で購入。しかし時代は変わった。。

『不機嫌な職場』高橋克徳 他著(講談社現代新書)

・本書を読むと、高度成長時代、終身雇用の日本企業の職場環境にはいい面も多く、現代の病理の解決方法は、そこにヒントがあることがよくわかる。鋭い内容だ。いっぽう解決のヒントも、なかなか現実には難しい部分も。。

『はじめての課長の教科書』酒井譲著(ディスカヴァー・トゥエンティワン)

・自分の書籍企画の参考として。外資と日本的経営の双方からの視点がユニーク。上の『不機嫌な職場』にも観点が通じる。

『「婚活」時代』山田昌弘、白河桃子著(ディスカヴァー携書)

・最近、買ってみたらディスカヴァー・トゥエンティワン刊だったということが続く。ここにも昭和のシステムが崩壊し混沌とする社会が映し出される。データや総論だけでなく、リアリティあるマーケティングによる分析は、納得感が高い。

Photo_3『年収崩壊』森永卓郎著(角川SSC新書)

・昨今、「日本人は預貯金だけでなく分散投資を!」という論調が主流だ。しかし本書は、「預貯金は、3年ぐらい無収入で暮らせる額を確保。その残りでリスク系商品を」と説く。やっぱり自分には預貯金だよな、と全くもって説得力がある。庶民の視線が共感を呼ぶ一冊^^

『いつから、中年?』酒井順子著(講談社)

・ここのところ、新刊は発売日に購入している酒井順子さん。『その人、独身?』『駆け込み、セーフ?』に続き、タイトルも装丁も踏襲した2月刊。内容もますます同時代感があふれて、筆がすべりにすべっている感じ。

『3年で辞めた若者はどこへ行ったのか』城繁幸著(ちくま新書)

・今後、仕事とキャリアはどこへ向かうのか。いっぽう昭和の職場環境が見直されているが、それを実現できるのもまた一部の企業に限られる。あ~生きていくのは大変だし^^;

『35歳で独身で』秋月りす著(講談社)

・秋月さんの描く女性は、けっこう好きです。『OL進化論』の頃の一般職系OLが、今の時代ではこんなふうに逞しく生きているというこの現実感は、タダモノではないかもです。

『東京島』桐野夏生(新潮社)

・→ 『東京島』をご参照^^

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『東京島』桐野夏生

Photo今週の日月(08年5月25、26日)で、桐野夏生の新刊『東京島』を読んだ

桐野夏生のことは『メタボラ』発売時など何回か書いているが(今みたら、ちょうど去年07年5月26日^^;)、2001年前後に「週刊文春」の連載で読んだ『グロテスク』以来のファン。新刊が出たら迷わずすぐ買う作家の一人だ

極限状態の人間の心理を描かせたら天下一品の桐野夏生。今回は、無人島に漂着、という古典的な舞台を設定しているが、相変わらずその描写は凄まじいばかりだ。

また、ここのところの『魂萌え!』『メタボラ』と通底しているのは、いくつかの書評でも指摘されている通り、貧困極まる底辺生活、国家や市場経済の成立、といった社会問題も含有しているところだ

読後感としては、桐野夏生のなかではまあまあ及第点、といったところだろうか。

例えば『グロテスク』『柔らかな頬』『OUT』といった代表作。これらを読んでいるときは、ページを読みつつ早く先を知りたくて左ページに目が飛んでしまうのを、必死でこらえる、といった状態になる。

『東京島』は、そこまではいかなかった。地の文が改行なしで続くところなどは、読み進めるのに多少のしんどさを感じることもあった。

いずれにしても、そもそものレベルが高過ぎるのであって、十二分な水準のエンタテインメント作品だ。また、新しいテーマ、新境地を果敢に攻め続ける姿勢は、さすがとしか言いようがないと思います

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『メタボラ』桐野夏生

Photo_2今週は、火水木で、桐野夏生の新刊『メタボラ』を読んだ。朝日新聞で連載していたのだが、新聞は一度読み損ねるとなかなか続かなく、新刊の発行を待っていた。

以前、週刊文春に連載していた『グロテスク』があまりにおもしろく、一気に好きな作家になってからもう6年。『メタボラ』は、『魂萌え!』に続いて、新たな作風を示したように思う。

事件をモチーフにして、人間の深層心理を抉り出した『グロテスク』、『リアルワールド』。それが極限まで行き過ぎて、自分としては後味の悪い『残虐記』『アイム ソーリー、ママ』。ミステリーを超えて極上のエンタテインメントにまで達している『OUT』『柔らかな頬』。

『魂萌え!』『メタボラ』は、そんな流れとはやや趣を異にし、昨今の社会問題を背景に、そこを生きる現代人の姿を映し出した作品だ。相変わらずその状況描写と心理描写は、凄まじいばかりだ。

『メタボラ』の舞台は、沖縄のやんばる、本部、名護、恩納村、那覇、宮古などなど。沖縄は過去10回の滞在でかなり隅々まで行き尽くしているので、そのどれも光景がありありと浮かぶ。

主人公のギンジは、家庭崩壊から過酷な人生を歩むことになる。なのに、この話しはなぜか重く暗い感じがしないのはなぜだろうか

それは、亜熱帯の気候のイメージが何もかもをポジティブに彩るのと、ギンジとジェイクの若い2人のバックパッカーのような日々が、ぎりぎりの貧窮生活ながらも夢を感じさせるからなのだろうか。(作者にその意図があったかどうかは疑問だが)。

しかし他でも書かれているが、5月27日付朝日新聞の本書書評は、全文にわたって的をはずしていないだろうか

とくにラスト、「謎めいたタイトル『メタボラ』がその意味を開示するクライマックスは、まさに圧巻だ」とあるが、クライマックスは、桐野作品のなかでも極めて淡々としたものだ。このように特筆して評を締めくくる要素は、ないと思いますが。。

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「幻夜」(東野圭吾著)

Photo_31 文庫が発売された「幻夜」を読んだ

この作品は、「白夜行」の続編的な作品だ。主人公の男女の周辺に、連綿と不可解な事件が起きる。そしてそれはすべて、主人公の男女が世の中を生き抜くのに都合のいい結果につながっている。

「白夜行」を読んだときのあの感じを、もう一度味わえると思った。が、正直、中盤あたりからテンションが持続しなくなっていったように思う

気持ちをざらざらとさせられる感じ謎が謎とあいまってどんどんと極まっていく感じ主人公の男女の微妙な距離感覚執拗に追いつめる刑事の凄み、どれをとっても「白夜行」のほうが勝っているように思えた。

それにしても、一般的に考えれば、上々の出来だ。いかに、東野圭吾作品のアベレージが高いか、ということなのだろう。

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「柔らかな頬」(桐野夏生著)

Photo_30 先週、数年ぶりに「柔らかな頬」を読んだ。これが2度目。昨今、同じ本、とくに小説を2回読む、ということがあまりない。それだけ、この作品のインパクトが強かった、ということなのだと思う。

灰色をした故郷を「脱出」した主人公のカスミは、東京で安定した日々を送ることになる。しかし、その状況が「緩慢なる死」のようにカスミを苛み始め、そこからも「脱出」を計る。

しかし、その行為がもたらしたものは、幼い娘の失踪という事態。それ以来カスミは、生きていくこと自体が絶望を極めていく、という人生を送ることになってしまう。

それにしても、ラスト3分の1に入ってからの、たたみかけるような白日夢の連続は圧巻だ真相の仮説が現われては消えてゆく。読んでいるこちらの気持ちも、高波にまみれる船のように揺さぶられ続ける。

やはり「柔らかな頬」は、「OUT」「グロテスク」「光源」とともに、桐野夏生最上級のエンタテイメント作品であることを、再確認させられた。

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「駆け込み、セーフ?」(酒井順子著)

「駆け込み、セーフ?」(酒井順子著)を昨日、読み終えた。

Photo_22酒井順子さんは、90年代前半に二、三読んだものの、当時はあまり印象に残らずにいた。

が、「負け犬の遠吠え」以後、「私は美人」「その人、独身?」、そしてこの「駆け込み、セーフ?」と、発売されるとすぐに買っている状態。他にも、「女子と鉄道」「枕草子REMIX」「都と京」なども読んだ。

都会に住む女性とその周辺を描かせたら、今、彼女の右に出る者はいないと思う。それはもちろん、彼女の視点、分析力、筆力が優れていて、普遍化、抽象化する能力が高いからである。が、それに加え、自身がしっかりと一般人としてテーマの対象でいるのを忘れないことが、大きいのだろう

等身大の目線でフィールドワークしマーケティングできるからこそ、誰よりもその実態を浮き彫りにできるのだと思う

遠いところから諸問題を論じている学者や国家機関よりも、遥かにリアリティと説得力がある。しかも、読んでてかなり笑えるし^^

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「気まぐれコンセプト クロニクル」ようやく到着

書店に見当たらなく、アマゾンに注文してから約2週間、ようやく「気まぐれコンセプト クロニクル」が届いた。残念ながら、すでに第2刷。最初のウェイヴに乗り遅れてしまった。。

当初アマゾンでは、2、3日で到着との案内だったが、途中で1、2週間遅延の連絡。なんだとぉ~と怒っているうちに、重版分が書店に並び始め、なんとも歯がゆい思いをした

しかし、このボリュームはすごい。約1,000ページで2,200円とは、破格だ。そして1984年から2006年までの23年分が、ぎっしり。各年、40~50ページもあり、しかも2作に1作は注釈付きだ

手許にある、「気まぐれコンセプト」の奥付を見ると、1984年7月20日が初版発行。(なんとこの本も初刷を逃し、2刷を買っている。。)。あれから、ずっと続編を待っていた。それがこんな形で世に出たのは、感動だ。

さすがに1,000ページ弱は、一気に読破できる分量ではない。持ち運ぶには相当重いから、これから何日か、家で楽しむことになりそうだ。ちなみに今日は、最近のほうから数年分を読んだ。昔も今も変わらないノリで嬉しくなる

Photo_15トリノ五輪でスノボの日本選手が素人と間違われてつまみ出される回や、軽くヤバい」のCFで宇多田ヒカルのバージョンがお蔵入りになった回とか、かなり笑った。

まだまだ、続きが楽しみいっぱいです^^

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「気まぐれコンセプト クロニクル」売切れ。。

先週末、某サイトで書籍の売上ランキングを見ていたら、「気まぐれコンセプト クロニクル」なる本が上位に!

さっそく今日、書店に行ったが、どの店も売り切れ状態。。早く読みたくてうずうずしているのだが、仕方ないので、いまアマゾンで注文した。

アマゾンを見たら、発売は1月20日。売れ行きの初速が、予想外だったのだろうか。ちなみに、推薦文。

連載25年、4コマ漫画による日本現代史!
80年代『見栄講座』、90年代『東京いい店やれる店』と10年サイクルでベストセラーを生み出すホイチョイ・プロダクションズが、1981年からビッグコミックスピリッツで連載し続けるギョーカイ4コマ漫画「気まぐれコンセプト」をセレクトし、年代別に総力編集。フキダシ内の「ジュリアナ」「ザウス」などのトレンド語句には脚注を入れ、バブル前夜からバブル再来?といわれる今日までの四半世紀をふり返る、究極の輪廻転生日本現代史エンサイクロペディア。 2月公開のホイチョイ映画「バブルへGO!! タイムマシンはドラム式」と連動し、来たるべき“バック・トゥ・ザ・バブル”ブームの指南書として、満を持しての発売!

なんと976ページ!! うぅ。。早く読みたいっす。

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重松清著『送り火』より「シド・ヴィシャスから遠く離れて」

先般文庫化された、重松清著『送り火』に収録されている、「シド・ヴィシャスから遠く離れて」が、よかった。

シド・ヴィシャスとは、いまさら言うまでもないが、パンクの代名詞でもあるセックス・ピストルズのベーシスト。極度の麻薬中毒者であり、パンクを地で行く生き方をした結果、1979年に21歳で死亡したのだ

この話の主人公、ケニー佐藤こと佐藤敬一は、かつてカリスマ的なパンク評論家だった。しかし今では、妻と娘を持ち、生活で手一杯の42歳の普通の社会人

そんな敬一が、娘の保育園のお迎えで、乱丸と15年ぶりに再会する。乱丸は、当時ケニー佐藤がいちばんのお気に入りだったパンクバンド、ゼロサンのボーカリストだった。しかし今は、敬一と同じく3人の子どもを持ち、普通に働いている。

乱丸は敬一に堀田を紹介する。堀田は35歳でありながら、ケニー佐藤の文章に衝撃を受け、今でもパンクな生き方を続けている。当然ながら、それで社会で生きていくのは、しだいに難しくなってきている。堀田は、敬一に責任を問う。。。

本作は、小編ながら、普遍的なテーマを上手く捌いていると思う。人は誰しも、若い頃に理想を持つ。しかし、その理想を貫ける人は、ほんの一握りの、奇跡的に才能と運に恵まれ続ける人だけだ。ほとんどの人は、社会の現実にさらされ始め、しだいにそこと折り合いをつける必要が出てくる。

しかし、皆が不幸になっていく訳ではない。人は新たな現実の中で、それぞれの喜びを見つけていくのだ。そうでなかったら、生きている意味がなくなってしまう。

本編は、そんな希望を感じさせてくれる佳作であると思った。

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堀井憲一郎著『若者殺しの時代』とクリスマスイヴ

クリスマスイヴと言えば、先週、堀井憲一郎著『若者殺しの時代』(講談社現代新書)を読んだ。

堀井憲一郎と言えば、週刊文春連載の「ズンズン調査」も長く読んでいるが、1998年双葉社刊の『『巨人の星』に必要なことはすべて人生から学んだ。あ。逆だ』は、かなりの愛読書になっている。自分のマニア(ヲタク)マインドなど霞んでしまうほどの遥か遠い境地に達しているこの本は、衝撃だった。

氏が、自分の少し先で自分と近い文化に接して過ごしてきているのは感じていた。本書で初めて知ったのは、氏は自分より3歳上だが、同じ早稲田で入学は自分の1年前。数年間を同じ場所で過ごし、同じ時代の空気を吸っていたわけだ

そんな氏が、1980年代から現在に至るまでのトレンドな事象を通じて、現在の若者の置かれている状況を切って見せたのが本書だ。

第2章には、クリスマスについての記述がある。クリスマスが「恋人たちのためのものになった」のは、1983年が分岐点。その後、クリスマスは大人の商業主義にからめとられ、「ファシズム」と化したという分析だ。

確かに、自分も高校生のあたりから、「クリスマスイヴ」をどうやって過ごすか、は気になるテーマとなった。彼女がいれば安心できたし、気になっている女性がいれば一緒に過ごそうと画策したし、逆にそういう見込みがない年は、早くこの日が過ぎ去ってほしかった

そんな70年代後半からの自分の意識は、80年代には世間の雰囲気となり、80年代中盤・後半は、本当にフレンチでディナーして都心のシティホテルに一泊、の世界となった。

本書には、クリスマスの他にも、ディズニーランド、トレンディドラマから純愛ドラマ、携帯電話、ワープロとパソコン、ヘアヌード、マンガ、「一杯のかけそば」、バレンタインデイなどがテーマとなっている。80年代から現在に至るまでのトレンドが、停滞し沈んでいくしかなくなった「今」、なかでも「今の若者」に与えた意味について、鋭い分析がなされている。

他の著書で見られる氏独特の「一人突っ込み」的な文体がほとんどなく、とくに終章に至るあたりは、いわゆる筆がすべっている感じで、凄みすら感じられる。

タイトルだけが、少し残念。最近、「下流」「格差」「若者」が本のタイトルにつき過ぎで、埋もれてしまう感じがある。氏のこういう本だと知っていればすぐに買ったのに、奥付の4月発売から自分が認知・購入するのに8ヶ月も経ってしまった。不覚でした。。

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