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2010年7月23日 プラッソンの幻想

ミシェル・プラッソン指揮 東フィル ベルリオーズ ローマの謝肉祭、夏の夜、幻想交響曲      サントリーホール 

演奏会やCDで様々な幻想を聴いてきたが、今日の幻想は唯一無二、既知の輪郭を覆すような演奏だった。幻想と言えば、現代では普通こんなふうに解釈され演奏される、というスタンダードから離れ、それはもしかしたら19世紀はこんな感じだったのかも知れないし、もしかしたら、それは全く新しい21世紀的なものだったのかも知れない。

冒頭、まるでよくできた映画や小説のプロローグのように、これから何が起きるのか予想もつかない序幕。その後も、決して咆哮せず走らず、ドラマティックとは程遠いのになぜか地味とも全く掛け離れ、オリジナリティの塊りが意表も突く。

銃弾が飛び交いもせず、人が死んだりもせず、なのにひたひたと心の奥底を震撼させるサスペンスを見ているような緊迫感。オケの音色も透き通った音ながらも、それだけでは済まされない仕込みが入る。

普段聴く幻想だと、曲途中でいくつかの感銘のピークがあるのだが、今日はそれが全くなく、それはすべてまとめて全曲が終わった瞬間にやってきた。トータルでの世界観にいつの間にか自分が入り込んでいて、それを見届けたときに深いものがずしりと全身を貫く。

さすがにこの演奏を否定的に捉えた人はほとんどいないのだろう、サントリーホール全体にポジティブな気の波動が満ちたのが見てとれた。

こんな歴史的な瞬間に立ち会えることが、生演奏通いの醍醐味なのだ。

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