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2008年9月6日 スカラ・フィルハーモニー管弦楽団 サントリー公演

チョン・ミョンフン指揮 

ロッシーニ:歌劇「アルジェのイタリア女」序曲、歌劇「ウィリアム・テル」序曲、プッチーニ:歌劇「マノン・レスコー」より間奏曲、ヴェルディ:歌劇「運命の力」序曲

チャイコフスキー:交響曲第4番

ここ数年は在京メジャーオケを中心に聴いていて、日本のオケもずいぶんレベルが上がったものだと感心することしきりであった

しかしそんななかで今日のスカラ・フィルのような音を聴いてしまうと、やはり根本的なものが違うことを思い知らされる

このイタリアオケの、パレットに32色をちりばめたような音色からすると、日本のオケのは、白と黒、ときどき銀。。そのぐらいの違いがある。

また、日本のオケが100の力で100の演奏をしているとすると、今日のスカラ・フィルは、150の力で100の演奏をしていたような余裕だ。

なかでも金管の美しさと余裕、これは日本人の限界を易々と凌駕してしまっている。木管もまたウィーンともベルリンとも違って、色気があり過ぎぐらいの音色だ。

これに弦があいまって繰り広げられるオケ全体の音からは、濃厚な陽気さが香り立ち、日本男児がとくに恋愛において「イタリア人にはかないまへん。。」と白旗を上げてしまうのも、仕方がない気がしてくる。

このスカラ・フィルは、今年2008年5月号の『レコード芸術』誌のオーケストラ・ランキングでは、20位にランクされている。しかし今日の演奏は、これより上位に位置するオケが月並みな出来だったときよりも、はるかに素晴しいものだった。

いつも言うことなのだが、オケも人の集まり。どこまで気合いが入っているかで、大きくそのアウトプットは違ってくる。その「気」の入る重要な要素の1つが、指揮者との蜜月の度合であるのは自明である

今日の演奏と団員の雰囲気を見る限り、チョン・ミョンフンはこのオケを完全に掌中に収めていることが、ありありと伝わってきた。

【さて演奏は。。】

プログラムの前半は、イタリアオペラの序曲集。もう何も言うことはない。次から次へと出てくる一流シェフによるイタリア料理を満喫したような満足感だ

そして後半はチャイコフスキー。こちらは、ミョンフン氏の左脳右脳の緩急が圧巻だった

つまり、理詰めで楽想をたたみかけるように追い詰め突きつめていくところと、いっぽうで自由に伸びやかに感性でうたわせるところの絶妙な切り替え、これに魂まで持っていかれてしまうような法悦感をおぼえた。

しかし最後まで違和感が消えなかったのは、もともと自分の心象風景のなかではモノクロームで冬枯れて孤独なチャイ4、とくに1、2楽章の絶望、残酷、憂鬱に対し、オケの音色があまりにカラフルで彩豊か過ぎる点だ。どうにも仕方ないことだが。

だとすると、チャイ4は、白と黒と銀の日本のオケのほうが、本質的に合致しているのかも知れない。曲と演奏、国民性や人種のマッチングは、なかなかに興味深いテーマだ。

【LAブロック左寄りエリアを初体験】

ところで今回、LAブロックのP席寄り7番までのエリアを初体験した。一般にはP席よりも厳しい席とされているが、これがなかなかよかった。

同じLAでも8番以降だと「真横」になって、弦・木管・金管が完全にタテに分離して聴こえるのだが、このエリアだとそれがまとまって聴こえてくる。

この音のまとまり方がオケらしくて、納得感があるのだ。指揮者の表情やタクト捌きもよく見えるし、なかなかリーズナブルな席だ。これがRAだと、さらにコンバスが隠れて第1ヴァイオリンを正面に見るわけだから、なおいいのかも知れません。

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