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08年4月26日 東響 オペラシティ 定期公演~際立つシューマン4番の凄み

指揮:シャン・ジャン  ヴァイオリン:イダ・ヘンデル

ベートーヴェン:序曲「レオノーレ」第3番

シューマン:交響曲第4番

ベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲

ところで、オーケストラの聴き方の王道・本流は、「この指揮者がこの曲を、どう解釈してどう演奏するのかを聴くところ」と言われている。

そこからすると、自分の演奏会のチョイスの仕方は、「とにかくこの曲が聴きたい」というモチベーションから発しているケースも多い。確かに邪道・傍流・亜流なのかもしれない。

なぜかと考えると、かつてのカール・ベーム、レナード・バーンスタイン、カルロス・クライバーほどに心酔できる指揮者が、今の自分にはいない。今、演奏会があればどんな曲目でも聴いてみたいと思わせる指揮者は、ドゥダメルぐらいかも知れない。まだ生では一度も聴いたことがないから、曲目は二の次なのだ。日本人では、井上道義、小泉和裕、海外ではチョン・ミョンフン、ゲルギエフ、シャイーあたりは好きなのだが、どんな曲でも、とまではいかない。

この、曲モチベーションのチョイスは、当たり外れが伴う。せっかく自分の好きな曲なのに、解釈がイマイチでがっかりすることもある。(だからそうなりそうな指揮者の場合は、もちろん買わない)。

しかしいっぽうで、思いもかけずいい指揮者を発見できることがある

今日がそうだった。レオノーレ3番と、シューマンの4番を聴きたくて買ったチケットだったが、今日のシャン・ジャン。これが、秀逸な演奏をやってのけてくれた

シャン・ジャンは、中国人の女性指揮者。日本で著名な宝塚的要素を持つ女性指揮者と違って、髪は短かいし、ごくごく普通の容貌。指揮をしている後ろ姿は、男子中学生のようである。

ところがそんな彼女から繰り出される演奏は、レオノーレにしてもシューマンにしても、音が充溢していて、美しく漲った音が迸っている

煌く弦、横一本に芯となる金管、ふくよかで美しい音色の木管!

ここのところ東響には感心することが多く、一般の評価もいちだんと高まっている。今月の『レコード芸術』誌の特集では日本のオーケストラで1位になっているが、それにしても今日は際立っていたように思う。

今日の席は、1階19列。先週始まった東フィル定期も19列で聴いたのだが、あの日は木管金管が埋もれていたし、弦もこんなクリアには聴こえてこなかった。(もっとも東フィルは、いいときと悪いときの差が大き過ぎるのだが)。東響の標準的な力と、それをさらに引き出したシャン・ジャンの力なのだろう。

シューマンの4番は、なんだか不思議な曲である。ドイツ・オーストリアの交響曲の系譜のなかでも、特異な光彩を放っている

このような作品は、晩年に生まれたと言われれば納得もできるが、実際には1番の作曲後、最も創作活動が充実していたときの作品なのだ。

だからこそ、小説で言えば「主人公が勝手に動き出した」ような境地のなかで、作曲家の天才と狂気が、彼方の世界へ一人歩きしていったのかも知れない。

今日の演奏は、そんな異常さがあざやかな藍の色をもって描かれていた感じがした。4楽章まで進んだときに、その凄みに鳥肌が立ってきた

改めて、指揮者に注目した「王道」の方法で演奏会を選んでいたら、今日の演奏会は買うには至らずこのような僥倖に恵まれることはなかったことを思うと、曲オリエンテッドな選び方も悪くはないと思いました^^

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