« 07年9月14日都響春祭1曲2,250円 | トップページ | 祖師ヶ谷大蔵のレコード店「スミ商会」07年10月20日閉店 »

映画『日本以外全部沈没』

原作:筒井康隆、原典:小松左京、監修:実相寺昭雄、総理大臣:村野武範、防衛省長官:藤岡弘。。。この面々を見ただけで、感無量である。

ウルトラマン、ウルトラセブンにはまり、小学校6年時は、「飛び出せ!青春」一色だった。原典の「日本沈没」を読んだのは、確か中学1年あたり。当時、「日本沈没」は大流行だった。映画も見た。

藤岡弘と石田あゆみの海辺のラブシーンはいまだに鮮明に記憶がある。なぜだかわからないが父親と観に行っていて、この場面、気まずかった。

その後中学の前半は星新一、小松左京を読んでいたが、後半で筒井康隆にはまった。発売されている作品は、ほぼ全部読んだ。「日本以外全部沈没」は、「農協 月へ行く」に収録されていた。

今、手元にあるが、この作品は「オール読物」昭和48年9月号掲載、単行本初版は、昭和48年11月30日。小松左京氏の了承を経て、数日間で書き上げたとか。

原作は、四六版上製本のなかの、わずか20ページの短編。日本以外が沈没し、世界中の人間が難民として日本に上陸する。

もともと新聞記者のたまり場だった。「クラブ・ミルト」では、ポンピドー大統領、ガンジー、毛沢東、周恩来、ローマ法王、ニクソンなど各国首脳がケンカをしている。さらに、フランク・シナトラ、ビートルズ、トム・ジョーンズ等のミュージシャンも、小さいステージでの仕事を求めて集まっている。

クラシックの巨匠のリヒテルとケンプが、ジャズのスタンダードの「Fly me to the moon」を連弾していると、店に注意されてあわてて「十三夜」を弾き出す、というシーンもある(笑)。

さて映画だが、まず笑うのが、日本語を話すように強要されている外国人たちの日本語だ。こんなことを言うのは差し障りがあるのかも知れないが、外国人は外国語を話しているとカッコイイのに、片言の日本語を話すとどうしてマヌケなのか

元国連事務総長が、上野公園をアメリカに譲ってほしい、と総理大臣に懇願する。それをおちょくる韓国と中国の首脳。すると事務総長は、立ち上がって怒り出す。

「ヲイ、チュゴクトカンコク。サキカラキイテレバ、オマエライツカラ、ニホンノイヌニナリサゲタ(成り下がった)。シンリャクノルクシ(歴史)、ワスレタノカ」

最初の大爆笑シーンだ。また、オスカー賞俳優ジェリー・クルージングが、だんだん仕事がなくなってきて、電話で相手を罵詈雑言してたかと思うと、懇願モードへ

「ミステナイデクレーヨォ」

どんどん傲慢になっていく日本人と、媚びへつらう外国人。基本的にそんな人間の醜いさまを斜に見ながら笑う映画なのだが、さすがに原作の20ページに対して映画は100分前後。様々なドラマも加えられている。

主人公である記者の「おれ」(小橋賢児)とキャサリンは、もともと国際結婚(って死語?)をしていた。しかし「おれ」は、しだいに日本流の従順を強いて横暴になる。そんななか、キャサリンは、初期の頃からのファンで「初恋の人」であるジェリー・クルージングと街で出会う。ジェリーは、風俗店のサンドイッチマンをしていた。

キャサリンは、「オスカーを取ってからのあなたは退屈だった。でも今のあなたはいい目をしているわ」と告げる。そしてとうとう「おれ」の家を出て路上生活のジェリーと暮らすようになり、死への道を共にする。

いいシーンだ。民族として、人間として、最低の矜持を保てなければ、死も辞さず、というところか。とは言え、それが重要なテーマという訳ではなく、あくまでシニカルに笑いをとるほうがメインなんですけれど^^;

|

« 07年9月14日都響春祭1曲2,250円 | トップページ | 祖師ヶ谷大蔵のレコード店「スミ商会」07年10月20日閉店 »

「映画・テレビ」カテゴリの記事

コメント

結局陸地は全部沈んでしまうので「世界沈没」ですね。地球に意識があったら、さぞセイセイしたんじゃないかなぁ、と内容に関係なく思った次第です。

投稿: T.A | 2007年9月17日 (月) 08時48分

確かに^^;
昨今の地球温暖化を見ていると、本当に人類はこんなふうに滅亡する気もしてきます。さすが筒井康隆先生の先見の明です。

投稿: paienne | 2007年9月17日 (月) 09時37分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/96638/7972725

この記事へのトラックバック一覧です: 映画『日本以外全部沈没』:

« 07年9月14日都響春祭1曲2,250円 | トップページ | 祖師ヶ谷大蔵のレコード店「スミ商会」07年10月20日閉店 »