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ウルトラセブン第45話「円盤が来た」(ペロリンガ星人)

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●フクシンくん、ペロリンガ星に行ったほうが幸せだったかも。。

Photo_45実相寺監督のセブン4作目。第8話『狙われた街』第12話『遊星より愛をこめて』は似た雰囲気を持ち姉妹作のようだが、本作と第43話『第四惑星の悪夢』も、方向性は異なるものの共に異彩を放っている幻想的な2作だ。

望遠鏡で星を見ることだけが楽しみな、工場勤務の青年、フクシン。新しい星を見つけて「フクシン彗星」という名の星を持つのが夢だそうだ。

今夜も望遠鏡で空を見ていると、隣りの自動車整備工場で作業中のゲンさんに騒音で嫌がらせをされるは、翌日は工場で立ったまま居眠りして社長に小言をくらうは、まったくいいところがない。

小田急線の鉄橋をバックに、多摩川沿いで寝転ぶフクシン。小学生の少年にまで、慰められる始末。今の時代なら、間違いなくニートだっただろうが、高度成長時代の日本では、こんなふうでも、仕事に就くことができていたのだろう

しかし、この川沿いの工場の街とそこで生活する人たちの描写が、やたらとリアルだ。一瞬、何の番組を見ているのか、不思議な気分になる。『第四惑星の悪夢』もそうだが、実相寺監督、あくまでウルトラセブンは素材で、自分の描きたい世界を好きに作っていたのだろう。

フクシンは、望遠鏡をのぞいていて、大量の円盤群を発見する。ウルトラ警備隊に通報するも、異常は何も確認されず、相手にされない。フルハシは、パジャマで本部に現われる。

ひし美ゆり子著『セブン セブン セブン』95ページには、「色っぽいネグリジュ姿でポーズ!」(第44話『円盤が来た』撮影中のショット)というアンヌの写真が掲載されているが、本作で寝巻きで登場するのは、このときのフルハシだけだ。実相寺監督がボツにしたのだろう。残念。。

しかしアンヌのシーンをカットするいっぽうで、『第四惑星の悪夢』に続き、ダンとソガの男2人がクローズアップされる

2人でパトロール中に、普段より星が多い空を見て「やけにロマンチックだなあ」(ダン)とか言ってるし、その後本部では同時に「星が多いな」とつぶやく。2人を「そういう」雰囲気に描きたかった意図が見えるといっても、過言ではないだろう

そして、望遠鏡屋だという、例の少年の家に行くフクシン。少年はペロリンガ星人だった。色彩がやたらサイケ。mixiのコミュでは、「ゴージャス松野氏(沢田亜矢子さんの元夫)に似てる」と書かれていたが、確かに^^;

そして第24話「北へ還れ!」の相撲中継と並んで話題の、プロ野球中継の音声。9連覇のさなかにあった、よき時代の巨人戦だ。

「ついに3本目のヒットを許しました。。堀内投手が練習を開始致しました。。両監督の胸中やいかに。。今、画面に川上監督が映りましたけどね。。黒江。。王を送りました。。ジャクソン。。センターの守備に入っております。。」

障子をバックにするペロリンガ星人。ちゃぶ台の前であぐらをかくメトロン星人と並び、昭和の日本と彩り豊かな宇宙人とのコントラストが、あざやかなシーンだ

ペロリンガ星人は、地球に飽き飽きしたフクシンを自分の星へ連れて行ってあげると言う。ある日、突然蒸発していなくなった人たちは、みんなペロリンガ星に連れて行ってもらっているそうだ

蒸発事件は、実は某国の仕業だなどと、この頃は誰も気付いていなかったのだろう。。本人同意のもとなのだから、某国よりずいぶんまともだ

フクシンが警備隊に電話した録音を聞き返すと、ペロリンガ星人の声が入っていて、その存在がバレる。なんともマヌケ。

宇宙でのセブンとペロリンガ星人の戦いは、やたらと幻想的にまとめていて、完全にイメージの世界。こんな処理は最初で最後かも。

そして、フクシンくん、警備隊に褒められ、星を見上げ、また日常が戻る。廃材、ゴミの山。。これでもかといわんばかりに、殺伐とした工場地帯の風景がクローズアップされる。はたして、フクシン、地球の日常とペロリンガ星での生活と、どっちが幸せだったのだろうか。。

(写真:「怪獣wiki特撮大百科事典」より)

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コメント

ラストシーンはおそらく、人間の飽きっぽさを描いていると思います。あのゴミは当時高度経済成長期のテレビや洗濯機です。当時は三種の神器なんて呼ばれましたが、それを持ってることが当然のこととなると古いものは次から次へ捨てられただのゴミになります。あの時のフクシンも、散々馬鹿にされて結果的に英雄になりましたが、都合がいいときだけ英雄呼ばわりする周りの人間、フクシンもたぶんそう思っていたはずです。その「記念碑も劣化する」的な描写を、実相寺はあのラストで描きたかったのではないでしょうか。今で言う会社にとっての使い捨て派遣社員みたいなものです。

投稿: | 2010年5月 8日 (土) 10時48分

>その「記念碑も劣化する」的な描写を、実相寺はあのラストで描きたかったのではないでしょうか。

なるほど。納得できる解釈ですね。

また遊びにきてくださいませ。

投稿: paienne | 2010年5月10日 (月) 20時52分

scissorsコンバンワ 早速またお邪魔してます。
『円盤が来た』と言うか実相寺作品が大好きです。
ある意味、実相寺作品は他の監督と違って「身近な恐怖や侵略」を視聴者目線で描いてましたよね。
この作品では星好きのフクシン青年と日々の生活や労働が描かれてて見てる方からしても親近感が涌きます。
ペロリンガ星人の言う「専門家はいつもアマチュアより自分達の方が正しいと思ってる」「その隙を突いて苦も無く地球に大円盤群を送り込むわけさ」と言うのは蓋し今も名言ですね! 今回の大震災、原発事故はいずれも評論家面した専門家達が何の役にも経たない事を証明しました。私も被災に見舞われましたが、希望も夢もなくしかけた日々も多かったですが、ここに生まれて良かったと今は思います。
時々天体観測をしていますが、ぺロリンガ星人(高野少年)にはまだ逢った事は無いんですが(笑)

日々フクシン君の様に自転車でようやく復旧した会社に通う自分です。

投稿: マゼラン星人 | 2011年12月14日 (水) 16時44分

マゼラン星人さん

こんばんは。昨日は、忘年会から帰ってパソコンを見ずに寝てしまい、コメントが遅くなって恐縮です。

マゼラン星人さんは被災されたんですか。いろいろご苦労も多かったことと思います。私も東京で帰宅難民になり大変でしたが、しばらく縁が途絶えてた知人からメールをもらったりと、人とのまさに「絆」を感じた出来事でした。

実相寺監督作品は、本当に独特ですよね。この作品もウルトラセブンを見ている気がときどきしなくなります。

コメントありがとうございました。
またぜひ遊びに来てくださいませ。

投稿: paienne | 2011年12月15日 (木) 23時28分

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