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ウルトラセブン第43話「第四惑星の悪夢」(ロボット長官)

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●全編を通し、最も異彩を放つ作品

際立って印象的な作品だ。全49話のなかでも、異彩を放っている。もはや完全に大人向けの作品だ。

Photo_39 宇宙人・怪獣が全く出てこない、3作目。が、「侵略する死者たち」 「盗まれたウルトラアイ」では背景に宇宙人の存在があるのに対し、ここに登場するのは、地球そっくりな星で人間を支配するロボットである。

ストーリー自体は非常にシュールなのだが、実はそれは夢か幻ではなかったのか、という含みも持たせることで幻想的なニュアンスも醸し出している。実相寺監督独特の映像処理は、ますます際立っているし、音楽の使われ方も、非常に効果的だ。完成度高過ぎ。

そして残念ながら、その実相寺監督と、本作のキーパーソンであるソガ隊員が、相次いで亡くなってしまった。ご冥福を祈ります。。

■ストーリー

全自動宇宙ロケット、スコーピオン号が完成した。どんな長距離でも、眠っているうちに目的地に到着できる優れモノだ。しかしソガは、「さそり座」の意味を持つスコーピオン号に、占星術から不吉な予感を持つ

ダンとソガは、20日間眠り続けたままテスト飛行を続ける。しかしスコーピオン号は、地球から120億万キロ離れた第四惑星に誘導され、軌道をはずれてしまう

地球そっくりだが何か違う星に着き、違和感を持つダンとソガ。いきなり軍服の男に逮捕、連行される。コロッカラッ。待ち受けるロボット長官

この星では、自動化を進めて何もしなくなった人間が、2000年前にロボットにとって代わられてしまっていた。たてつく人間は容赦なく処刑されているし、ドラマの殺戮シーンも、本当に人間を殺して撮影されている。

そして、第四惑星では、地球の人間が自分たちのエネルギー源になることがわかり、地球を植民地化するための部隊がまもなく地球に向かうところだという

脱出するダンとソガ。それを手助けする、ロボット長官の部下で人間の、アリー(愛まち子)。人間の街で2人をかくまおうとする。アリーは捕らえられるが、死刑寸前のところをダンとソガが救出。ダンはセブンに変身し、変な音で断続的に出すエメリウム光線で、円盤から施設から破壊。ダンとソガは無事地球に帰還する。

警備隊では、夢か幻でも見てたんだろう、と一笑に付される。地球防衛軍も近いうちに機械で自動化されると言うキリヤマ。ソガは、それだと地球も第四惑星のようになってしまう、と危機感をつのらす。静養でもしてこい、とキリヤマ。

私服でワイシャツのダンとソガは、東名高速にかかる陸橋で、機械化の対極にあるような、「ゲタでの天気占い」をして、幕を閉じる。

■注目のシーン

●本作では、「地球のようで地球ではない何処か」をシュールに表現するシーンが秀逸だ。

その最たるものは、団地上空の「4つの月」だ。昭和時代の平凡な団地と、その上に浮かぶ、大きさの違う4つの月。このコントラストには、非常に衝撃を受けた。「地球のようで地球ではない何処か」を、端的にたったこれだけで、大いなるインパクトをもって表現し尽くしている。

また、ぽつっと置かれた赤い公衆電話が、ダンの顔アップの左下に小さく映り込んでいるシーン。本部に電話すると、「ただいまの電話番号は廃番になりました」とのアナウンス。地球の光景にしては、ただただ簡素過ぎるのに加え、「廃番」という耳慣れない表現に、ざらざらとした違和感が残る

そして、ダンとソガが連行された、ロボット長官の部屋。細長くてどこまでも奥行きが広く、色は白と黒。そこにデスクが1つだけ置かれている。隣の部屋もパラレルに同様だ。見事なシュールさ加減だ。

●本作は、音楽もいい。最初のスコーピオン号のシーンは、「ウルトラ警備隊の歌」のスローな金管ヴァージョンだ。ホルンとトランペットの柔らかい音が、スコーピオン号の安心感と宇宙の神秘的な雰囲気をつくる

そして、第四惑星の到着、帰還、ラスト前では、「希望的な終曲」のいくつかのヴァージョンがかかる。到着シーンでも、不安をあおる曲ではなく、あえて平和的希望的な曲を使っている。この音の彩りが、この話が幻かリアルか、ということを、オブラートに包む効果を与えているのだろう。

また、アリーや人間が虐げられる2度のシーンでは、ノンマルトのテーマが流れる。この音楽は、ノンマルトのテーマから、抑圧を受ける先住民族のテーマと、意味が拡張されているのだろう。(しかし、アリーさん。またまた美人の登場^^;)

●突っ込みどころも、ない訳ではない。相変わらず、戦略をなぜバラすのだろう。しかも、わざわざスコーピオン号の誘導までして。また、そもそもテスト飛行とはどこに向かっていたのだろう。さらに、今回ばかりは、ダンがセブンだと、ソガにバレたはずだ。巨大化して建物を壊したら、ソガとアリーは瓦礫の下では。アンヌが「遭難。。」とつぶやいた後のレジの音は何? 

まあ、すべてこの完成度の高さからしたら、取るに足らないことだ。

●07年5月7日の東京MXTVの放映では、死刑のシーンがカットされていたように思いますが。。。?

(写真:「怪獣wiki特撮大百科事典」より)

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コメント

昨晩、「ウルトラ倶楽部」の古いテープを引っ張り出して久し振りに観ました。
テーマが秀逸なだけに、正に残念な部分が却って目に付いてしまいました。
本当にリメークして欲しい。充分映画に成り得る作品ですよね。

投稿: T.A | 2007年5月22日 (火) 07時42分

このモチーフで正味23分程度は、本当にもったいないですね。2時間半の映画で見てみたいものです。「猿の惑星」以上のものができるでしょうね。

投稿: paienne | 2007年5月23日 (水) 22時19分

村末です。
ウルトラせブンで最も印象に残っていたのが、「第四惑星の悪夢」でした。
コリコリした音のイメージがいまだに耳に残ってます。

投稿: ムラスエです。 | 2010年5月16日 (日) 22時38分

村末さん

こんにちは! もしかして初コメントでしたっけ? ありがとうございます^^

>ウルトラせブンで最も印象に残っていたのが、「第四惑星の悪夢」でした。

最も映画的な作品ですからね。さすがお目が高い! 

投稿: paienne | 2010年5月17日 (月) 21時39分

 こんばんわ またお邪魔してます。セブン以外の他の記事も拝見させて頂きましたが、クラシック音楽もお詳しいようで興味深く読ませて頂きました。

「第四惑星の悪夢」はこれまた異色の実相寺作品で今も多くの人に人気のあるストーリーですね。
「ロボット長官」役の成瀬昌彦さんはこの他にも「ひとりぼっちの地球人」や新マンにも出ておられて個性ある演技が印象的でした。既に故人だと言う噂?ですが・・・

ソガ隊員が処刑される人々を見て「あの人達は何の罪で処刑されるんですか?」との問いに「人間もロボットらしく生きるべきだと言う永久(A級?)の政治犯でね」と言う台詞に背筋が寒くなった記憶があります。

このストーリーで「コンピューターは間違いをしない」と自負してたロボット長官でしたが、ダンがセブンとは知らないままに第四惑星に拉致してしまったが為に地球進行計画が瓦解したのはある意味大きなミスでしたよね。

ラストのダンとソガの私服姿での「明日の天気は?」と言う場面はとてもホッとする気持ちに今見てもなりますね。

投稿: マゼラン星人 | 2011年12月21日 (水) 17時38分

マゼラン星人さん

こんばんは! いろいろ読んでいただき、ありがとうございます。
第四惑星は、盗まれたウルトラアイと対照的に、幼少時の印象にあまり残らなかった作品でした。逆に中学、高校の頃になってから衝撃を覚えた記憶があります。

ラストのダンとソガのシーンのロケ地と言われる橋は、実は今住んでいるところの近くです。車が少ないのが印象的で、こんな時代にこのテーマかと、あらためて驚くばかりですね。

またぜひ遊びに来てくださいませ!

投稿: paienne | 2011年12月21日 (水) 22時39分

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