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重松清著『送り火』より「シド・ヴィシャスから遠く離れて」

先般文庫化された、重松清著『送り火』に収録されている、「シド・ヴィシャスから遠く離れて」が、よかった。

シド・ヴィシャスとは、いまさら言うまでもないが、パンクの代名詞でもあるセックス・ピストルズのベーシスト。極度の麻薬中毒者であり、パンクを地で行く生き方をした結果、1979年に21歳で死亡したのだ

この話の主人公、ケニー佐藤こと佐藤敬一は、かつてカリスマ的なパンク評論家だった。しかし今では、妻と娘を持ち、生活で手一杯の42歳の普通の社会人

そんな敬一が、娘の保育園のお迎えで、乱丸と15年ぶりに再会する。乱丸は、当時ケニー佐藤がいちばんのお気に入りだったパンクバンド、ゼロサンのボーカリストだった。しかし今は、敬一と同じく3人の子どもを持ち、普通に働いている。

乱丸は敬一に堀田を紹介する。堀田は35歳でありながら、ケニー佐藤の文章に衝撃を受け、今でもパンクな生き方を続けている。当然ながら、それで社会で生きていくのは、しだいに難しくなってきている。堀田は、敬一に責任を問う。。。

本作は、小編ながら、普遍的なテーマを上手く捌いていると思う。人は誰しも、若い頃に理想を持つ。しかし、その理想を貫ける人は、ほんの一握りの、奇跡的に才能と運に恵まれ続ける人だけだ。ほとんどの人は、社会の現実にさらされ始め、しだいにそこと折り合いをつける必要が出てくる。

しかし、皆が不幸になっていく訳ではない。人は新たな現実の中で、それぞれの喜びを見つけていくのだ。そうでなかったら、生きている意味がなくなってしまう。

本編は、そんな希望を感じさせてくれる佳作であると思った。

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コメント

重松清さんの短編集ですよね。本屋さんで見かけましたw
なるほど。。
重松清さんはよく読むほうなんで(やや重いですが;;)またチェックしてみようと思います。

投稿: かれん | 2007年1月17日 (水) 22時29分

確かにやや重くてすらすらっと読めないですよね。おススメの本あったら、教えてください^^

投稿: paienne | 2007年1月17日 (水) 23時00分

私なんかが生意気だとは思いますが、私が読んだ物の中では、デビュー作の「ビフォア・ラン」とか最近の「キミの友だち」とかは比較的楽に読めました。
あと、いろいろ考えさせられたのは「疾走」です。。
映画化されたって聞いたからDVDも観たくらいです(笑
15歳の少年が経験するには過酷すぎな内容でした。

あと思うのが、重松作品ってイジメとか扱ってる作品が多いけど、以前は“現実にあそこまでのイジメってホントにあるのかなぁ”って思って読んでましたが、最近のニュースを聞くとあながちフィクションじゃないのかなって思っています。。

長くなってすみません。

投稿: かれん | 2007年1月18日 (木) 22時55分

ありがとうございます! 「疾走」がイジメを扱ってるんですね? 次、読んでみます^^

投稿: paienne | 2007年1月18日 (木) 23時29分

「疾走」はイジメがテーマじゃないです;;
書き方が下手ですみません。。

イジメがテーマなのは「ナイフ」って作品です。

投稿: かれん | 2007年1月18日 (木) 23時45分

初めまして(*^^*) 私のブログ『本の足跡』にコメントいただきありがとうございます★
重松さん、初めて読んだんですけど、いいですよね~すっかり気に入っちゃいました♪『シドヴィシャスから遠く離れて』はホントよかったですよねぇ~(*´ー`)

投稿: さゆみ1194 | 2007年1月19日 (金) 01時52分

かれんさんへ
いえいえ、僕が勝手に話をつなげてしまいました^^; いずれにしても、読んでみますね!

投稿: paienne | 2007年1月20日 (土) 00時44分

さゆみ1194さんへ
コメントありがとうございます! さゆみさんの読書量はハンパじゃないですね。これから、おススメ本を参考にさせて頂きます!

投稿: paienne | 2007年1月20日 (土) 00時49分

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