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堀井憲一郎著『若者殺しの時代』とクリスマスイヴ

クリスマスイヴと言えば、先週、堀井憲一郎著『若者殺しの時代』(講談社現代新書)を読んだ。

堀井憲一郎と言えば、週刊文春連載の「ズンズン調査」も長く読んでいるが、1998年双葉社刊の『『巨人の星』に必要なことはすべて人生から学んだ。あ。逆だ』は、かなりの愛読書になっている。自分のマニア(ヲタク)マインドなど霞んでしまうほどの遥か遠い境地に達しているこの本は、衝撃だった。

氏が、自分の少し先で自分と近い文化に接して過ごしてきているのは感じていた。本書で初めて知ったのは、氏は自分より3歳上だが、同じ早稲田で入学は自分の1年前。数年間を同じ場所で過ごし、同じ時代の空気を吸っていたわけだ

そんな氏が、1980年代から現在に至るまでのトレンドな事象を通じて、現在の若者の置かれている状況を切って見せたのが本書だ。

第2章には、クリスマスについての記述がある。クリスマスが「恋人たちのためのものになった」のは、1983年が分岐点。その後、クリスマスは大人の商業主義にからめとられ、「ファシズム」と化したという分析だ。

確かに、自分も高校生のあたりから、「クリスマスイヴ」をどうやって過ごすか、は気になるテーマとなった。彼女がいれば安心できたし、気になっている女性がいれば一緒に過ごそうと画策したし、逆にそういう見込みがない年は、早くこの日が過ぎ去ってほしかった

そんな70年代後半からの自分の意識は、80年代には世間の雰囲気となり、80年代中盤・後半は、本当にフレンチでディナーして都心のシティホテルに一泊、の世界となった。

本書には、クリスマスの他にも、ディズニーランド、トレンディドラマから純愛ドラマ、携帯電話、ワープロとパソコン、ヘアヌード、マンガ、「一杯のかけそば」、バレンタインデイなどがテーマとなっている。80年代から現在に至るまでのトレンドが、停滞し沈んでいくしかなくなった「今」、なかでも「今の若者」に与えた意味について、鋭い分析がなされている。

他の著書で見られる氏独特の「一人突っ込み」的な文体がほとんどなく、とくに終章に至るあたりは、いわゆる筆がすべっている感じで、凄みすら感じられる。

タイトルだけが、少し残念。最近、「下流」「格差」「若者」が本のタイトルにつき過ぎで、埋もれてしまう感じがある。氏のこういう本だと知っていればすぐに買ったのに、奥付の4月発売から自分が認知・購入するのに8ヶ月も経ってしまった。不覚でした。。

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» なんとなく興味深い一節、オタの数年後を考えた [わたしはわたしはわたしは・・・]
私より年を召されている方なのだが、 格差ネタではさんざっぱら仮想敵にしつつも、一方で敬愛してやまない先輩世代の方のようだ。 70年代後半からの自分の意識は、80年代には世間の雰囲気となり、80年代中盤・後半は、本当にフレンチでディナーして都心のシティホテルに一泊..... [続きを読む]

受信: 2006年12月25日 (月) 10時37分

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